勇壮な割に狩りが苦手
〜オオワシ〜
 


国の天然記念物

氷上のオオワシ
 オオワシは、オホーツク海北部で繁殖し、越冬のため冬になると北日本に飛来する冬鳥です。
 黄色くて大きなくちばしと、飛ぶと目立つくさび形の真っ白い尾羽を持った白と黒のコントラストが美しい海ワシです。オオワシはオジロワシと似ていますが、オオワシの方が一回り大きく、オジロワシに比べて尾羽が長いことや、成鳥は肩に白い模様があることから区別できます。
 また、よく似ている若鳥も大きなくちばしを見れば簡単に区別することができます。
 大きくて強そうに見えるオオワシですが、分布している場所は世界的にみると狭く生息数も少ないことから、オジロワシと同じく1969年に国の天然記念物に指定されています。オオワシの生息数が減ったのは尾羽が矢羽根として珍重されてきたことや、はく製などを目的にするハンティング、生息地の環境破壊などが原因であることが分かっています。
 ロシアと日本では、ワシを守るための共同研究を89年から始めており、ワシに発信器を付けて行動を調べたり、繁殖地の状況を詳しく調べたりしています。
 

ワシとカラス

 カラスたちはワシやタカの仲間が嫌いなのか、仇(かたき)を見つけたように追いかけ回したり、いたずらしたりする不思議な習性があり、これをモビングと言います。
 モビングは原野で冬を越すワシたちにも行われ、カラスたちがワシのそばに恐る恐る近寄っては尾羽を引っ張ったり、上空から飛びかかって頭をけろうとしたりする様子を観察することがよくあります。
 当然、ワシたちにとっては迷惑なことです。しつこいカラスたちのモビングを嫌がり、止まっている場所をあちこち移動したり、時にはカラスに向かっていったりする様子をよく見ます。
 なぜ、カラスたちがワシやタカにモビングするのか、はっきりした理由はよく分かっていませんが、ワシの居場所をカラスたちが案内してくれるので、ワシを観察するには都合の良い行動です。
 

勇払原野のオオワシ

 勇払原野で冬を過ごすオオワシは、ウトナイ湖や弁天沼、鵡川や厚真川で観察されることが多く、沼や川で弱った魚や死んで打ち上げられた魚を食べているのをよく見掛けます。勇壮な姿の割には狩りが得意ではなく、カモなどを襲っているところを見ることはごくまれです。
 オオワシやオジロワシにとって勇払原野は、越冬地としてはもちろん渡りの中継地としても重要な場所です。沼や川は、食べ物を得る場所、わずかに残された昔ながらの森林はねぐらに利用されています。しかし、沼も川も森林もさまざまな土地利用計画の中で危機的な状況にあり、確実に自然環境が保全される見通しは立っていません。
 都市近郊にありながらオオワシやオジロワシが飛来する素晴らしい原野の自然環境は私たちの誇りです。いつまでもワシたちが舞う原野を保全していくことが必要です。

 (ゆうふつ原野自然情報センター・村井雅之、イラストも)

ふるさとネイチャーらんど苫小牧民報社